キズナナイ
絆が無かった。
急に何の話だ?と思われるかもしれないが、俺の高校時代のクラスには妙に絆が無かった。
普通、高校時代というのは青春であったり、甘酸っぱいであったり、そういう言葉で形容されることが多い。よく漫画やドラマで見るヤツだ。
だが、俺の通っていた高校は漫画やドラマのそれとは違っていた。それは何故か?
工業高校だったからである。
工業高校は基本的に男子しか居ない。勿論男子校という訳では無いが、女子の割合は全体の5%にも満たない(通っていた高校の場合)。それも、一つの学科に集中している。
だから何?
そう思われるだろう。一見大した問題では無いように思える。だが、考えてみて欲しい。
女が居ない前でいいカッコしたいか?という話である。
こんなエピソードがある。
当然ながら、高校には体育祭がある(無い高校もあるかもしれないが、ご理解下さい)。体育祭といえばそう、これもまた当然だが、大縄跳びだ。
クラス全員で、跳ぶ。
クラスメイトの絆が試される場面である。
だが、体育祭の1週間前になっても誰も練習しようと言い出さないのだ。こんなことがあるか?普通?
他のクラスは皆昼休みに校庭で練習している。
だが俺のクラスはどうだ?ラノベを読み、PSPでこっそりギャルゲーをやり、国家資格の勉強をしていた(これは非常にいい事だ)。何故だ?
結局体育祭当日は一回目で引っ掛かり、クラス全員すぐにしゃがんだ。引っ掛かったらしゃがむルールだったから。
あの時はそうは思わなかったが、今になって俺はこう考える。
「あっ、男って女が居ないと頑張らないのでは?」
絶対そうだ。絶対絶対そうだ。
男女比が5:5のクラスでこんな現象が起こるとは思えない。絶対女子が練習をしようと言い出すし、男子も絶対めんどくせえなあとか言いながら女子にいい所を絶対見せたいはずである。
オスだけしか居ないと本来起こるはずの現象が起こらないのだ。
あのクラスは完全に本能が錆び付いていた。
全然使ってないペンチみたいに。
電気実習室の隅に転がってるネジみたいに。
雨ざらしのピロティの柱みたいに。
そして、今の俺も然りだ。
男しかいない職場で完全に本能が錆び付いている。
次回はそんな俺が風俗で童貞を捨てた時の話をしたいと思う。
ここまでご覧頂きありがとうございました。
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